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(Meteorological Research Institute)モデル

(2) CHモデル(Coupled Hybrid Model);気象庁が現在使用しているMRI−?モデル

(3) CDモデル(Coupled Discrete Model)

これらは第一世代から第二世代のモデルであり、現在では新たな第三世代のモデルが開発され、試用されている。

いずれの方法でもかなりの計算時間を必要とするようであり、利用者の要請に対応するためには独自モデルの開発にあたり、使用する計算設備、数値波浪予報モデル、計算領域、格子間隔(格子数)、時間間隔、使用する気象要素の信頼度などについて総合的に検討する必要がある。

 

アンケートの中の1例を挙げると…足摺岬沖は、時として三角波が出来る。うねりに関する情報を頻繁に通報願いたい(参考文献7:P.39)…とある。

三角波は、光易(10)によると、…はっきりした定義はないが、いろいろな方向に進む波が合成されたり、波が流れに逆行して進行したりする場合に生じる非常に波形勾配の大きなとがった波の俗称である。英語には似たような名称が見あたらないが、最近話題になっているfreak waveはこれに近いとある。…と述べている。

このような波の出現可能性を船側で推測するには、海上保安庁の足摺岬気象観測所のデータと、気象庁の沿岸波浪実況図(AWJP)注のFAX情報に頼るしかない。しかし、気象庁の実況図は日に一度であり、海上保安庁の足摺岬波浪データは毎時通報されているが海岸と沖合との波浪状況は同じではないので、例えば短波海洋レーダーを用いて要求に答えられないか検討の余地があろう。

三角波は複数の大波がたまたま同位相でぶつかった場合に発生する巨大波であることから、三角波発生の可能性を船側で推測するために、現在の風浪とうねりの合成波高の分布を等波高線で示し、その卓越波向を矢印で、卓越周期を秒で示している沿岸波浪図を外洋波浪図(AWPN)注のように風浪とうねりを区別したものとしそれぞれの波向が削るものにするなどの処理をして、後は乗組員に判断をゆだねることが考えられる。

注:図の種類を表す符号

AW:Sea Wave Analysis. JP:Japan. PN:North Pacific Area.

 

沿岸に近い地域で、船舶が特に情報を必要とする海域について岬、湾、島等とそれらの海底地形によって引き起される波の浅海効果、浅水変形、反射、屈折(下記、注1〜4参照)等を考慮したきめ細かい情報提供を考えるとき、灯台部が多年にわたり蓄積してきた多くのデータを活用できよう。また、運輸省港湾研究所などが蓄積している港湾海域に関する情報を積極的に取り入れることを考慮したい。

 

独自の数値波浪予報モデルの開発に対しては、気象庁などの支援を必要とするにしても船舶気象通報発展の一環としてその作業を進めるのが適切と考える。波浪情報の提供に関する情報の流れのについて、図1.1.2に一案を示す。

 

 

 

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